『年老いたクラウン』の続編、世界初演―。
年老いたクラウン=ニコロによって静かに語られる、切なく激しい愛の物語。

互いが互いに、自分が相手の身振りを完全に操っていると信じている年老いたクラウン=ニコロとひとりの女性。繰り返される活発で無力な呼びかけ、そして次々とニコロのもとを去っていく身体の機能……まずは「性器」、それから「心臓」、そしてすべてが彼のもとを去っていく……。傷口という鏡を通して束の間、ふたつの存在は交差する。

フランスの名優オリビエ・コントは、第1回演劇祭で上演した『チェーホフ・マシン』(作:マテイ・ヴィスニユック)のチェーホフ役で主演、第2回以降の演劇祭では、彼のためにマテイ・ヴィスニユックが書き下ろしたモノドラマで、パリで4ヶ月間のロングランを成功させた代表作『年老いたクラウン』によって参加。劇団が現代作家マテイ・ヴィスニユックの作品を上演していくうえで欠かせない劇団の創造的パートナーとなっています。さらに2008年には浅野演出によるブレヒトの『乞食 あるいは 死んだ犬』に出演し、言語・文化の壁を越えて、共に「演劇とは何か」を試み、取り組めることを互いに実現しました。その後も劇団は、彼がフランス・パリで主催する〈スーフルール・コマンド・ポエティック〉との共同企画「ささやきの思想レジスタンス―桜前線2000キロの旅」(2011年春/2013年春実施予定)や、浅野演出によるブレヒトの『セチュアンの善人』の出演など、互いに刺激し合う演劇活動を続け、芸術的友情を育んでいます。
ルーマニア出身の作家マテイ・ヴィスニユック作/オリビエ・コント演出・出演によるこの作品は、風のビエンナーレでの上演のために『年老いたクラウン』の続編として書き下ろされ、〈第4回 ビエンナーレKAZE国際演劇祭〉にて世界初演となりました。年老いたクラウンニコロが描く人間の卑猥さや歪みは、我々の文明が出会うべき優しくも激しさに満ちた世界をこっそりと、そしてとても大胆に開示していきます。

■オリビエ・コントと風の共同制作 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

作:マテイ・ヴィスニユック
演出:オリビエ・コント
   エレヌ・ニコランスコット
音楽制作・舞台美術・音響・照明:フランソワ・シャファン
舞台監督:長谷川敬久
演出助手:南雲史成/渋谷愛
舞台監督助手:佐田剛久
照明オペレータ:坂野貢也
音響オペレータ:渡辺雄亮