幼くまるはだかで途方もなく不可思議な人
  かつてバールがこの世にあったときに愛したのもこの空

ひとりの女が愛したのは、放埒な自然児バール。
おふくろの胎内から出てきた彼は、何も持たず、空を愛し、
酒を飲み、女を抱き、ギターを手に歌う―
野たれ死に、再び大地の胎内に戻っていくまで。
バール(栗山友彦)を愛した女を渋谷愛が演じ、
バールの生命=エロス、その誕生から消滅までを語る ―。
 
2つの大戦を経験した亡命作家ブレヒトが、20歳のときに執筆した『バール』。その冒頭に書かれた詩「偉大なバールの賛歌」をもとに、芸術監督 浅野佳成が上演台本を作成。バールを愛した“女”を登場させ、ブレヒトが戯曲に込めた〈生命への賛歌〉を断片化し、上演する詩劇の試み。
これまでも『肝っ玉おっ母とその子供たち』『マハゴニー市の興亡』などのブレヒト作品を演出してきた浅野のもとに、国内外のスタッフが集結。創立30周年を迎える劇団の新たな出発点となるブレヒト新作上演。

原作:ベルトルト・ブレヒト
翻訳:岩淵達治
上演台本・演出:浅野佳成

【出演】
渋谷愛 栗山友彦   
田中賢一/柳瀬太一
緒方一則/中村滋
佐藤勇太/白石圭司
白根有子/稲葉礼恵
髙階ひかり/倉八ほなみ
仲村三千代/石岡和総
蒲原智城

作曲:林光 
音楽協力:八幡茂
舞台美術:
アンドラ・バドゥレスコ
衣裳:バジリ・ピョントコフスキ
演出協力:エリック・ドゥニオー
音響:実吉英一 
照明:坂野貢也
音響オペレータ:渡辺雄亮 
舞台監督:佐田剛久