REPERTORY
〇『ヘレン・ケラー』 |
■レパートリー■
東京演劇集団風は2019年から、視覚・聴覚障害の当事者の方たち、障害者施設職員の方たちと研究会を重ね〈バリアフリー演劇〉の試みを開始しました。同年に劇団の代表作『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』『星の王子さま』、2021年には『Touch~孤独から愛へ』をバリアフリー化し、2020年から全国の小中学校や、視覚・聴覚支援学校、特別支援学校において公演を行っています。
舞台手話・字幕・音声ガイドの情報保障に加え、あらゆる人が舞台に触れて、劇空間をイメージできるバックステージツアーや舞台説明、出演者の自己紹介、俳優・スタッフとの交流などを行い、見て、ふれて、感じる実体験を大切に上演を行っています。
現在バリアフリー演劇は障害支援施設や特別支援学校だけでなく、全国各地で実施され、「人間の多様性や違いを理解し、共に生きる豊かさを学ぶ場」「インクルーシブ教育」「思いやりの心を学び、ひとりひとりが輝く教育」など、共生社会の学びのひとつとしても、捉えなおされています。
バリアフリー演劇の試みは障害の有無、地域や経済的な環境の格差に関わらず、すべての人たち、子どもたちが自由に芸術を体現し、それぞれの感性や可能性を発揮するための、新しい芸術の実践となっています。
◇誰もが一緒に舞台を楽しむ情報保障
バリアフリー演劇の舞台には、舞台手話・字幕・音声ガイドなどの情報保障が織り込まれています。台詞や動きと同時にスクリーンに映し出される「字幕」は舞台装置の一部となり、「舞台手話役者」は俳優と共に動いて、演技します。また会場全体には、舞台の進行に合わせてライブで「音声ガイド」が入り、視覚・聴覚障害の方や子どもたちも一緒に楽しめる舞台になっています。
◇見て、ふれて、感じる―舞台体験と交流
開演前には舞台説明を行い、この演劇が「すべての人がともに楽しめる舞台」であることを伝えながら、舞台の広さや、舞台の構造を説明し、俳優の紹介を行います。また舞台上ではバックステージツアーが行われ、障害のある人もない人も観劇する舞台のイメージを深められるよう、自分の手で俳優の衣装や小道具にさわる、目で見て、肌で感じて道具の仕組みにふれる体験を行っています。
◇手話や身体で表現―バリアフリー演劇の参加体験
バリアフリー演劇『星の王子さま』では、子どもたちや参加者の方々が「手話」や「歌」による表現で、舞台に参加します。手話を使って俳優たちとともに掛け合いで歌い、「身振り」を使って台詞を呼びかけ演じる、参加体験型の公演が行われています。