旅公演日記

旅公演日記2007秋

星の王子さま Le Petit Prince

作:サン=テグジュペリ●構成・演出:浅野佳成/東北・関東・関西・中国地方ほか

<キャスト>
王子: 白根有子
飛行士: 中村滋
ヘビ: 高橋征也
花: 仲村三千代
キツネ: 工藤順子
星の住人: 栗山友彦
バオバブ 遠山昌司/磯矢拓麻

ハムレット~To be or not to be~

作:W.シェイクスピア●演出:ペトル・ヴトカレウ、浅野佳成/九州地方

<キャスト>
ハムレット: 緒方一則
クローディアス: 柳瀬太一
ガートルード: 柴崎美納
ポローニアス: 酒井宗親
オフィーリア: 稲葉礼恵
レアティーズ: 佐野準
ホレーシオ: 田中賢一/田中悟
子供たち・旅役者ほか: 白石圭司
旅役者・墓堀りほか: 佐藤勇太
大人たち・旅役者ほか: 清水菜穂子

九州公演、千秋楽。
2007/12/29

『ハムレット』の旅公演もいよいよ大詰め。
17日(月)は鹿児島県の頴娃高校の公演。去年『肝っ玉』を上演した学校で、2、3年生は2年続けて「風」の芝居を観ることになる。ホールを使っての公演だったが、バラシの手伝いに多くの生徒たちが手伝ってくれ、声をかけてきた。
18日(火)は谷山中学校。今ツアー最後の体育館公演だ。『ハムレット』の体育館公演上演はこれで最後かと思うと、やりとげたという充足感と、安堵感、ちょっぴりのさみしさで、思わず力が入りそうになる。
19日(水)、いよいよ千秋楽。玉名女子高校は定期的に「風」の芝居を取り上げてくれる。「楽しみに待っていました」という生徒たちの熱い反響の中で千秋楽を終えた。

80日間に及ぶ長いツアーのなかで、49回の公演を終えたこの『ハムレット』の旅は若い観客たちと、舞台と客席の境をこえて「To be or not to be」をやりとりした旅だったのではないだろうか。
それが僕たちの悦びだ。
あとはー。
さあ、いよいよ東京での凱旋公演だ。


若い彼らと共に
2007/12/29

ハムレットツアーもいよいよラスト2週目を迎え、九州も日増しに寒さが厳しくなってきました。

今週も蒲生高校(鹿児島)・古賀高校(福岡)・鹿屋女子高校(鹿児島)・天草工業高校(熊本)・三池工業高校(福岡)とハムレット班は九州を駆け巡りました。それぞれの公演が思い出に残るものでした。

先日、座長の柳瀬太一からこんな話を聞いた。
「体育館でも会館でも上演後の撤去が終わり、ふと眺めた時にもの哀しさを感じる。ついさっきまで劇場であった空間が、まるで嘘だったかのようにまっさらになってしまうから。」

この言葉から改めて2ヶ月間を振り返ってみると、沢山の思い出に反して本当に短い期間だったように感じる。確かなことは、どの公演でも、若い彼らとに共に劇場に命を吹き込めたことだ。

共に『ハムレット』を創造した彼らの中には、何もなかったかのように元に戻った体育館を観て「もの哀しさ」を感じた人もいたことだろう。

目に見える足跡が消えたとしても、彼らの心の中にはっきりと『足跡』が残ってくれれば、これほど嬉しいことはない。

ツアーステージも残り3ステージ、彼らの中にどのような『足跡』を残すのか、新しい出会いが待ち遠しく思う。


旅も、いよいよ終盤
2007/12/16
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 今週の4ステージは全て体育館での公演です。
 12月3日、鹿児島県霧島市の福山高校での公演。昨夜からの雨が朝になってもシトシト降って、気持ちもどんよりしたまま学校へ…。ところが天は我らに味方した!搬入を始める頃には雨はピタリと止んで、快暢な滑り出し!搬出を手伝ってくれた野球部、サッカー部、その他の皆さんも活気に溢れ、とても爽やかな一日になりました。天と人に感謝!
 12月6日、開門橋を渡り下関、早鞆高校での公演。今回のツアー中、1ステージだけの本州での公演です。KAZEの公演は初めてで、先生も生徒さん達も、学校中が来校を待っていてくれました。そして本番を終えてー、搬出の手伝いに体育館にかけつけて来て下さった先生方や生徒さんたちの表情がとても良い!(この日だけに限りませんが)役者やスタッフと一緒に舞台をバラしながら、芝居の余韻を楽しんでいるかのよう。劇団のメンバーも、彼らと接しながら皆いい顔してる!体育館公演ならではの良さが、ここにありました。
 12月7日、再び九州へー。鹿児島の吹上高校。ここは過去4回KAZEの公演があり、2年生と3年生は昨年『肝っ玉おっ母とその子供たち』を観てくれています。『ハムレット』の出演者11人のうち6人が『肝っ玉』にも出ていたのですから、特別な思いがあるのでしょう。くい入るように舞台を見つめるまなざしに熱いものを感じました。
 12月8日、神村学園での公演。この学校もKAZE創立以来、学校公演の全てのレパートリーを、過去7回観ていただいています。昨年に続き、小・中・高校生の皆さん1100人が一堂に会しての体育館公演。私は昨年、生徒の皆さんといっしょに客席に居て、『肝っ玉』を観ましたが、最前列の小学生の児童の反応の良さにびっくりさせられた記憶があります。今回もおよそ2時間半という長時間、集中力を絶やさずに舞台を見つめてくれている皆さんのキラキラ輝く顔を見る幸せを、つくづく感じました。カーテンコールでの「お礼のことば」も良かった!観終わった後の率直な感想が、体育館に居合わせたみんなの心を和ませてくれました。
 
 今週も観客の皆さんに支えられて、たくさんの元気をもらうことが出来ました。
 旅もいよいよ終盤に向かいます。一回一回「このままでいいのか、いけないのか」と自らに問い続けながら、舞台と客席の刻々の交感を楽しみたいと思っています。


『星の王子さま』後半戦–生徒たちの笑顔との出会い
2007/12/15
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日本全国に寒波が到来する中、今週は暖かい高知県からスタートです。
安芸中学校・安芸高校に到着すると、沢山の生徒さんたちがお出迎え!みんなで2階にある体育館に搬入をしました。
海に面した校舎で、太陽の光が降り注ぐ中、生徒さんたちの笑顔が一際輝いていました。
翌日は岡山県 高梁日新高校、山に囲まれたところです。学校は武家屋敷が囲み、時代を感じる町並みの中にありました。
全寮制の学校で、全国各地から生徒さんは集まっているそうです。撤去の手伝いを門限ぎりぎりまでしてくれたなかで、色々な話ができ、交流を持てて良かったと思います。
旅班は東へ、東京を過ぎ、茨城県岩井高校へ。
公演終了後に生徒さんが、王子役白根に
「王子頑張れ!」「面白かったー」
と声をかけてくれる中で、
「また観れて良かった。」
と言う声がありました。そう、2年前の文化庁公演で挿入歌「僕のたびは続く」を一緒に歌った生徒さんたちでした。
旅公演の中で、こうした再会はとても嬉しいです。
全国各地を廻り、若者とふれあうなかで、彼らの笑顔は変わらない、と思うことがあります。
時代が変わりゆくなかで、われわれ大人が彼らに向かい、どのような未来のヴィジョンを見せていけるか、それが課題です。
来週は再び文化庁公演へ突入!


ハムレット、気持ちも新たに旅後半。
2007/12/11
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旅公演も中日を過ぎたところで連休を挟み、気持ちも新たに迎えた週となりました。

今週の公演で印象に残ったことのひとつとして、開演前に、先生が生徒に話した言葉があります。
「演劇は、演じる側と観る側が一体となって成り立つもの。笑いたいところで笑えばいいし、真剣に観るところだと思えばしっかり観る。この劇にはどんなメッセージがあるのか自分なりに感じてみて下さい。」
初めて舞台を観る生徒も少なくない中での先生の言葉だと思いますが、自分なりに好きに感じる、その感覚と創造力こそ舞台を盛り上げる力だと実感します。

ホレーシオを演じる上で、僕は特にラストシーンではハムレットと客席の空気に集中します。その力を受け取って最後の台詞に繋げて演じています。
この日の公演は、まさに舞台と客席が互いに“何か”を交換し、客席の力を感じた公演でした。
また、例え今は分からないことがあったとしても、受け取ったそれぞれの“何か”が、生徒たちにとって、これから先の、自分達の未来へと残るメッセージになることを願っています。


一週間の旅公演~ハムレット
2007/12/04
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中日を過ぎたハムレットの旅、宮崎日本大学中学・高校、志布志高校、福島高校、水産高校の公演にスタッフとして参加をしてきました。この週からホレーシオ役が田中賢一から田中悟にかわり、新たなハムレットの旅の始まりです。
私は今秋の旅公演には参加せず、東京で仕事をしたり、本を読んだり、来年のフランス、アウ゛ィニヨンの演劇祭公演に向けてフランス語を習ったりと勉強をしている日々です。
そういった中での旅への参加は新鮮でした。
会場には舞台上の役者、裏方のスタッフ、客席にいる高校生。舞台上から発信したものを客席が受け、客席が発信したものを舞台上が受け取る。そうやってハムレットという作品が創られる。そうしたコミュニケーションの循環を目の当たりにしました。どんなに小さなことにも反応があり、高校生のエネルギーを強く感じることが多かったです。
その中で、私はこれから何をしていこうか、できるのか、したいのか…
そんなことを考える一週間の旅でした。

もうすぐ12月。
寒さにも負けず、今日も旅班は九州を駆け巡っていることと思います。


『ハムレット』中日を迎えて
2007/11/28
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10月中旬から始まった『ハムレット』の九州ツアーも、無事中日をむかえました。
東京を出発して、九州に着いたころは暑さも感じた日々でしたが、今やこの地もめっきりと寒さをおぼえはじめ、クリスマスの飾り付けも街に見かけられます。
今週も熊本・鹿児島・大分・福岡と九州を駆けめぐる毎日でした。
これまでかなりハードな日々が続いた一ヶ月でしたが、たくさんの高校生たちとの素敵な出会いがあって、旅班一同は元気をもらい、みんな元気に旅を続けています。先生方はじめ、心からありがとうを言います。ホームページの掲示板にもたくさんの書き込みをいただき、私たちも勇気づけられます。なんだかあっという間の中日でした。

この公演で若い観客たちになにを提示できるのか?
ぼくらは舞台から、客席のみんなと共になにを共感できていけるのだろうか?
一回一回の『ハムレット』の場で、常に考え続けています。
この時代を共に生きている人間として、舞台からなにを発信できるのか。「このままでいいのか、いけないのか。それが問題だ。」とハムレットは問い続けます。
シェークスピアの四大悲劇のひとつと言われる『ハムレット』。悲劇の終末のなかに、今の私たちが語り継いでいける未来への希望や可能性や、生きる力といったことを探り出そうと感じつつ、公演が続いてきました。そしてすでに中日を過ぎていよいよ後半戦。

これからまだまだたくさんの生徒たちが『ハムレット』を楽しみに待っていてくれます。その若い観客たちの真剣な心にしっかりと向き合い、今の時代・社会・世界に目が向けられるような舞台として、共にひびき合えれば嬉しいです。

旅の打ち上げの日まで、まだまだこれからです。旅班一同、毎日の出会いを楽しんで元気にやっていきたいと思います。


一瞬に生命を吹き込んでーハムレット4週目
2007/11/24
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今週はフェリーで長崎の五島に渡っての五島高校の公演から始まり、佐賀清和中・高校での2ステージ、八女市町村会館での西日本短大附属高校と八女学院中・高校、長崎鶴洋高校、そして土曜日に福岡県の遠賀高校と、7ステージの上演をした今旅の山場と言える一週間でした。
体力的にはかなりハ-ドでしたが、公演を重ねるたびに気持ちは高揚し、旅班がまとまってきました。毎日出会う学校の皆さんから私たちも元気をもらっているのです。

6年前に劇団でモルドヴァのイヨネスコ劇場の『ハムレット』を見に行き、その2年後に彼らとの共同製作による風の『ハムレット』を上演し、今秋念願の学校公演に持ってくることができました。
私はずっと『ハムレット』の中にある若い人々の生命の煌めきみたいなものに惹かれ続けてきました。大人の社会に流され、押し潰されまいとする生きることへの願いに。
私たちが日々出会う若い人たちは、一人一人が心の中に夢や大切な人や自由を持っているのではないかと思います。『ハムレット』の上演を通して、日常の中で埋もれている問いや願いに出会える場を創りたいと思います。
私たちも一瞬一瞬の中に生命を吹き込むように、一回の公演に向かって行きたいです!

土曜日の遠賀高校には芸術監督の浅野が旅の始め以来一ヶ月ぶりに公演を見に来ました。『ハムレット』を知らなくても、ハムレットの中にある出来事や本質を受け取っている。そんな観客に出会えるのは学校公演でしかできないことだ。一回一回その場で創るように、という言葉を受けて、まだまだ続く旅を新たな気持ちで創っていきます!


秋です。
2007/11/24
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「星の王子さま」の文化庁公演が終わり2週目。
今週は 京都・福知山女子高校
     愛知・起工業高校
     香川・志度高校
     広島・市立広島工業高校 の4校での公演でした。

11月も半ばを過ぎ、秋の訪れを移動中の車窓から感じるようになりました。
メディアからは「秋の風物詩といえば・・・」などと、よく耳にするフレーズが聞こえてきます。

今週はまさに「芸術の秋」に相応しい週になったように思います。
文化祭の一環として、オープニングに公演を鑑賞したり、公演前にブラスバンド部の発表を行ったりと、
演劇だけではない「芸術」に触れる良い機会になったのではないでしょうか。
公演の前後に出会った生徒さん達も、心なしか浮かれていた様に感じます。

学校生活という日常の中で、周囲の仲間達と創りあげる非日常。

彼らの体験の中の、1つの忘れられない体験になれたら、と思いながらまた旅公演に向かっていきたいと思います。

起工業高校の生徒会長さんへ
挨拶の第一声、あまりに印象的だったのでそのままタイトルに使わせて頂きました。ゴメンナサイ。


第3週目のハムレットの旅
2007/11/24
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 第三週目のハムレットの旅公演は、まさに九州を縦横無尽に動き回った一週間でした。
 大分の別府鶴見丘高校から始まって、鹿児島の志學館中等部・高等部、佐賀の伊万里高校、そしてまた大分に戻り佐伯鶴城高校、最後に長崎の長崎大学教育学部附属中学校の公演を行いました。
 様々な土地での公演を重ねていく中で、やはり僕らにとって変わらないこと、それは今の時代を生きている生徒に対して正面からぶつかっていくことだと僕は思います。
 ハムレットが「to be or not to be」と語るように、東京演劇集団風のハムレットという作品を創り上げてきました。そして若い観客と共に舞台を創り上げています。
 舞台を見つめ、様々な感じ方をしている生徒の姿や、芸術鑑賞行事の担当の先生の熱心な姿勢が常に出会いと共に必ず存在し、そして別れと共にこれからの出会いに胸が躍ります。
 一人一人の中で、一つでも多くの新しい発見が出来るように始まったばかりのハムレットの九州ツアーを走り続けていきたいと思います。


中日!
2007/11/24
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秋です!(生徒会長さんの開演前のご挨拶、第一声から拝借しました。)秋と言えば、食欲の秋、読書の秋、そして芸術の秋。この時期になるとよく耳にする言葉です。文化祭などの行事も盛んになり、学校内が一段と活気づく季節でもあります。
今週は、生徒会の生徒さんたちが中心になって鑑賞行事を進めていたり、先生方が終演後の撤去作業を積極的に手伝って下さったりと、学校全体がひとつの事に取組み、盛り上がっていく勢いが感じられる一週間でした。芝居なかの歌や音楽を聞いて、客席から自然に手拍子が沸き起こった事も印象的でした。
今旅公演も金曜日でちょうど折り返し地点。生徒さんたちにとって秋の季節のように豊かで、実り多い時間になるよう、あと半分がんばっていきたいと思います!


19年度文化庁、本公演終了!通常公演へ。
2007/11/24
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『星の王子さま』の旅、5週目。
10月29日から31日までは、埼玉県での公演。東岩槻小学校、高根中学校、花栗小学校での公演でした。31日をもって文化庁“本物の舞台芸術体験事業” 『星の王子さま』の公演は一旦終了。11月下旬からの追加公演までは、通常の公演になります。文化庁公演を終え、早速金曜日には、気持ちを切り替え旅班は愛知県へ。愛知県・半田農業高校での通常公演の初日も迎えました。

文化庁公演は各校の練習などの取り組みがとても熱心でした。この機会を有効にしようと、先生方が一生懸命指導してくださった様子が私たちにも伝わってきました。
「舞台と客席での相互作用が舞台をつくること」を改めて実感した各地での公演でした。
公演後には各学校からたくさんの感想文、お手紙が寄せられました。小学校1年生から中学校3年生まで。見方や印象に残る部分は様々ですが、「ありがとう」という言葉に、とても元気づけられました。
文化庁公演を終えて、旅班は通常公演(参加型ではない公演)に入ります。高校生、中学生にどんなメッセージを投げかけられるか、一緒に歌う事や台詞のなど、直接目に見える反応ではないところで、一日一日集中し、客席からの反応を逃さず、向き合ってともにつくる公演をしていきたいと思います。


その場にしかないもの–文化庁公演4週目–
2007/11/24
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星の王子さま文化庁公演も4週目を終えて残り3ステージとなりました。

今週は群馬県 長柄小学校 群馬県 松井田北中学校
群馬県 額部小学校
埼玉県 大宮東中学校
埼玉県 桜山中学校
のステージでした。

バックステージワークショップやブラスバンド部による光と影、僕は行くの演奏などとても思い出に残る一週間となりました。
星の王子さまを一緒に支える裏方の作業を初めて見たとき、素直に驚き、笑う、その彼ら、彼女らの笑顔を見たとき、なにかあたたかいものが自分の中に生まれる感覚がありました。
毎日の中でこういったものこそ忘れやすいものなのではないでしょうか。

毎日の公演の中で星の王子さまが見ている人の何を動かし、刺激していくのか、そのためには何を創っていかなければならないのか。
残り3ステージで文化庁公演が終わり、参加型の公演から通常の公演に変わります。若い観客たちに伝えるものは一日一日その場にしかないということを変わらずにもち舞台にたっていきたいと思います。


子供たちとの対話の中で–文化庁公演3週目–
2007/11/24
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先週末東京に戻った旅班は、今秋より、新しく旅公演に出るため月夜野で稽古をしていた『ハムレット』班と東中野で合流。東京にいるメンバーもかけつけ、2週公演を終えた王子班の話や、これから旅立つハムレットのメンバーのそれぞれの志しなど、12月に元気に会うことを願って互いにメッセージを交換しつつ、ハムレット班は九州へ、王子班は関東地域へと出発しました。
 文化庁3週目。今回はご父兄の方々にも見に来ている学校も多く、栃木県宝木小学校では、体育館のフロア、ギャラリーに超満員。そのなかで生徒のみなさんの歌、かけ声はとても感動的でした。
また、群馬県南雲小学校でも、地域のみなさん、児童のおばあちゃんもご覧いただき、カーテンコールでは「兄ちゃんたちがんばってよ」と声をかけてくださる姿もあり、ひとつの公演の中に、様々な可能性をつくって頂いた先生方には感謝の気持ちでいっぱいです。
また今週は、今公演初めての吹奏楽部の参加もあり、今回生演奏で歌うのは、初めての高橋(ヘビ役)も喜びと緊張で、いつもとは違う顔。力強い演奏で舞台を盛り上げてくれました。
週末には、この『星の王子さま』文化庁公演で子供たちの姿を、そして風の試みを撮り続けている、プロデュ-サーの向瀬杜子春さん、カメラマンの松元義則さんが合流。「今回は子供たちの素の声を撮りたい」とプロデューサーの向瀬さん。演出の浅野が学校公演でこだわり続けているもの、こどもたちへのメッセージとしてつくられた「浅野語録」から始まり6年間撮り続けている向瀬氏のこだわり。風の貴重な記録として、元気いっぱいに「星の王子さま」を受けとめてくれる子供たちから見えてくるものは--。
何をつくり出し、捨て、そしてまた何をつくり出していくのか、見失わずに公演をつくりたいと思いつつ、次の公演地に向かいます。


僕らの旅は続く–文化庁公演2週目–
2007/11/11
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『星の王子さま』公演の2週目は、福島県の勝常小学校から再び始まりました。今週は勝常小学校、同じく福島県の高田小学校、そして栃木県の那須養護学校での公演です。
メンバーも新たにした今回の旅。
若いながらも『星の王子さま』の公演では全国の小・中・高校生と向き合い、たくさんの出会いの経験を重ねてきた栗山友彦を座長として、スタッフも含めて若いメンバーが多い旅です。それぞれが過ごし感じてきた時間は、60年を越えて話題作である「星の王子さま」の世界にどんな新しい風を生み出していくのか。そして小学生に始まる若い人たちとどのような交流がつくれるか–

移動中のバスの中から、準備中も、公演も、宿泊先でもとにかくにぎやかで、活気あふれる旅が始まっています。

福島県湯川村、会津湯川米が最近評判の静かな村。小学生たちは元気いっぱいでした!翌高田小学校は近隣の赤沢小学校との合同での参加。呑み助、地理学者の役も両校の先生が演じてくれました。この機会にお互いの学校での交流がさらに深まったようでした。
栃木県にある那須養護学校では、小学部、中学部のみなさんが参加してくれました。2時間という普段の行事ではない長い時間、一生懸命舞台を見てくれていたのがとても印象的です。「僕の旅は続く」で舞台にあがってくれたみなさんの歌、そしてラストシーンの歌もとても迫力がありました。

本番を待って練習をしていてくれた生徒さんたち、子供たちに本物の舞台を見せたいと協力してくださった先生方、一回一回たくさんの思いに触れ、私たちの旅は続いています。


2007年『星の王子さま』の新たな旅
2007/11/11
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2007年秋の旅公演『星の王子さま』のツアーが、いよいよスタートしました。今回の公演地は、北は山形県、南は広島県、高知県と日本列島を縦断します。上演校も小学校から高校と幅広い年齢の生徒さん達と王子をつくります。
今回のツアーメンバーも、新たなキャスティングで望みます。飛行士を中村滋、ヘビを高橋征也。二人ともこの旅で新しい役に挑戦します。新しい飛行士と、ヘビがつくる『星の王子さま』皆さんご期待ください。
今週は、山形県と福島県の小学校と中学校で公演します。
この秋のツアーは、例年と違い文化庁主催『本物の舞台芸術体験事業』の公演からはじまります。そのため今年は、公演のためのワークショップを、7月から行い、先生方とも協力して準備を進めてきました。児童さん達の練習の成果もあり、10月1日山形の若浜小学校、2日蔵増小学校の児童参加の歌とセリフは、迫力があり劇団員も元気づけられました。
3日福島の鹿島小学校は、先生方の御計らいで近隣の小学校を招待し、三校合同の公演になりました。普段違う場所で生活する同地域の児童達が、同じ場所で芝居を創る企画は、鹿島の子供達にとって貴重な体験になったのではないでしょうか。
4日の沢渡小学校は、全校で44人の、今期最も少ない児童数の学校です。参加もみんながんばってくれました。1幕のクライマックスで6年生が参加する『僕の旅は続く』の合唱の場面では、客席にいた1年生から5年生みんなも歌ってくれたのが印象的でした。
5日、沢田中学校には、隣にある沢田小学校の児童も一緒に観劇し、参加も行いました。小学生はいつも元気があって、中学生はちょっと圧倒されていたのですが、中学三年生の『僕の旅は続く』の合唱では、さすが中学生というところを、みせてくれました。最後の『僕は行く』の合唱、セリフでは中学生も小学生も一体になってすばらしい舞台をつくってくれました。


『ハムレット』2週目です
2007/11/02
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ハムレットの旅が始まって2週間が経ちました。
今週は鳥栖商業高校から始まり、高稜高校、豊國学園高校、ラ・サール中学・高校、鹿屋工業高校、日出揚谷高校で上演しました。
2週間が過ぎ、旅のペースもできてきました。
生徒たちは皆、本当に違った反応、色々な受け取り方をしているので、毎回新鮮なハムレットが生まれている感じで、とても面白いです。
数百年の時を経てもなお上演され続けている『ハムレット』。
それを現代的な視点でとらえた、東京演劇集団風の」『ハムレット~to be or not to be』は、若い観客たちと共に何を創っていくのか。今まで出会ってきたことを大切に、そしてまだ見ぬ出会いと発見に胸を弾ませハムレットの旅は続いていきます。


『ハムレット』九州公演、スタート
2007/10/31
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今年もまた、九州に新しい風が吹く。
新作『ハムレット to be or not to be』の九州ツアーが、10月16日から始まった。12月19日まで2ヶ月以上に渡り、九州を駆け巡る。
夏の暑さが未だ尾を引くなかで、佐賀県小城高校体育館での初日、旅班一同の不安と期待の入り交じるなか、開演ベルは鳴った。
シェイクスピアの悲劇としてのイメージが強い『ハムレット』だが、生徒たちは本当によく笑った。作品のイメージにとらわれず、一瞬一瞬に目と耳を開いて舞台に向かっているからこその反応である。ツアー成功の手応えを得る。
『ハムレット』の提示する問題や遊技性が、若い観客の面前に立ち現れるよう、僕たちは作品と向き合い、時代を観察し、若者への愛情を持って、そして、 “to be or not to be”の振り子の間に、客席と何か大切なものを発見できる公演を、一回一回つくりあげていきたいと思う。
* 公演の詳細は「風・BLOG」でも紹介しています。