「風」の『ハムレット』−To be or not to be−
ハムレット写真 「風」のハムレットは、世界各地の国際演劇祭で活躍し高い評価を得ている、モルドヴァ共和国のウジェーヌ・イヨネスコ劇場との交流の中から生まれました。東ヨーロッパの小国モルドヴァと日本との初の共同制作です。

演出のペトル・ヴトカレウは稽古場で語りました。
「大事なことは『ハムレット』という作品が、若い世代のドラマとしてある、ということです。若い世代は、大人の過ちやつくりだした問題によって、自分たちがどう生きていくのかという道を見失い、あるいは困難や問題解決の糸口を見つけ出せないでいる。
なぜ、子どもが間違った方向に行くのか、自殺をしたり、それはどうしてなのか。問題を提供し、考えてもらいたい。それは、若い世代に対してなされる非難は、自分たちの中にあるのではないかと感じるからです。物質、政治、権力、そういうことの利益を追求し、子どもたちが後回しにされている。それは、日本でもそうであるし、モルドヴァでも、ヨーロッパの国々、そして世界のどこでも同じ状況だと思います」と。

「風」のハムレットは登場人物を「子ども」と「大人」という世代に分けています。
ハムレット、親友のホレーシオ、恋人のオフィーリア、その兄レアティーズを「子ども」とし、国王クローディアス、王妃ガートルード、その家臣ポローニアスは「大人」です。
さらに原作にはない「子どもたち」と「大人たち」も登場します。
「大人たち」は権力に従いどんな不正義も見て見ぬふり、「子どもたち」は「大人」に翻弄されるハムレットをじっと見つめています。
「風」の『ハムレット』は To be or not to be と自身へ、そして世界へ問い続ける若者たちの未来へのメッセージです。
あらすじ
偉大なデンマーク国王であった父の喪も明けぬ間に、愛する母ガートルードと現国王であり父の実弟(ハムレットの叔父)クローディアスの婚礼が盛大に行われている。一人ふさぎ込むハムレット。



その夜、ハムレットは親友ホレーシオの手引きで父の亡霊に出会う。亡霊は語る。自分は蛇に噛まれて死んだのではない、王妃と妃を手に入れようと企んだ弟クローディアスによって毒殺されたのだ、と。



それが真実である、と確信を得たハムレットは、復讐を決意し、その決意を悟られまいと狂気を装う。ハムレットの発狂を不審に思ったクローディアスは、家臣ポローニアスにハムレットの監視を命じる。ポローニアスは、娘でありハムレットの恋人のオフィーリアを使って彼の真意を探ろうとする。しかし、ポローニアスはハムレットによって誤って殺されてしまう。父の死でオフィーリアは発狂し、自殺してしまう。



愛するものたちを次々に失い、孤独の中に追い込まれていくハムレットは、自分自身、そして社会に向かって問う。  「To be or not to be.(このままでいいのか、いけないのか)」  それは、ハムレット、そして現代を生きる若者たちが自分の<生>に向かい合おうとするなかから生まれてくる問いかけである。
ハムレット写真
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