夫「おい、寝るのはよせ、この上、お前に寝ちまわれちや、おれはどうしていいかわからん」
妻「あなたもおやすみになったら……」
昭和初期、家計をやりくりして海辺の旅館に避暑旅行にやってきた、会社員とその妻。しかし滞在中の5日間は、毎日、雨ばかり。砂浜に出ることも出来ず、海水浴もままならず、暇を持て余すふたりに倦怠感が漂い…。
夫婦のたわいのない会話から浮かび上がるのは、男と女の微妙な機微と埋められないズレ。
フランス近代劇に学び、20世紀初頭の日本演劇界に新風を呼び起こした岸田國士に、チェーホフ、ブレヒト作品をレパートリーとして上演してきたKAZEが初挑戦。
シェイクスピア作『ベニスの商人』『ジュリアス・シーザー』、岸田國士作『紙風船』『命を弄ぶ男たち』などの古典・近代劇をシンプルかつ新鮮に提示してきた新進気鋭の演出家・桐山知也を迎え、岸田戯曲の普遍的世界から孤独な人間たちの、いまを見つめます。