1930年代、ナチスの反ユダヤ人政策を憂いたユダヤ人たちはドイツから子供を安全な国へと避難させた。それは「キンダー・トランスポート(子供たちの移送)」と呼ばれるようになる――。
「キンダー・トランスポート」として脱出した少女・エヴァは、母・ヘルガのもとを離れてひとりイギリス行きの列車へ。イギリスで待っていたのは身請けとなる、もうひとりの母親・リル。ドイツへ帰り、両親に会いたいという思いをひたすら持ちながら、リルとの新しい生活を始めたエヴァ。そのエヴァも母親になり、名前をイーヴリンと変え、帰化、やがて娘・フェイスが生まれる。ある日フェイスは屋根裏で、偶然エヴァのドイツ出国の時の書類を見つけてしまう…。
「ユダヤ人の実母・ヘルガ」「イギリスでの育ての母・リル」「帰化したイーヴリン」「娘のフェイス」三世代に渡る母と娘の葛藤。
歴史によって子供たちに深く刻まれた傷跡は、日常を刻む人々に癒されることのない記憶を残していく。