旅公演日記

旅公演日記2008春

肝っ玉おっ母とその子供たち

作:ベルトルト・ブレヒト 上演台本・演出:浅野佳成/関西・中国・四国・九州地方ほか

<キャスト>
肝っ玉: 辻由美子
料理人: 柳瀬太一
従軍牧師: 田中悟
イヴェット: 柴崎美納/仲村三千代
アイリフ: 鈴木亮平
スイスチーズ: 栗山友彦
カトリン 稲葉礼恵/白根有子
徴兵係・書記ほか: 白石圭司
曹長・兵士ほか: 高橋征也

Touch~孤独から愛へ

作:ライル・ケスラー●演出:浅野佳成/東北・関東・甲信越地方ほか

<キャスト>
トリート: 佐野準
フィリップ: 佐藤勇太
ハロルド: 酒井宗親

故郷にて
2008/08/22
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私が生まれ育った福島県福島市は都会ではない。が、極端な田舎でもない。演劇に馴染みがあるかといえば、「馴染みがない」といえる土地だ。

風の20年の歴史においても福島での一般公演など今まで決してなかったことであろう。

しかし、2008年7月26日・東京演劇集団 風の『Touch』の一般公演が行われた。

個人的なことを言えば・・・私が18年間育った土地で・・・高校演劇で立っていたステージで。

沢山の方にご来場いただき本当に嬉しかったです。バックステージツアー・ワークショップ・上演と様々な地元の方々の協力によって実り多い公演が出来たと感じています。

その土地ごとにどのような公演を行っていくか・・・思考する劇場から思考する公演へ・・・2008年春の『Touch』のツアーは終わりを迎えましたが、風の全国での活動はまだまだ続きます。

また福島での公演があるとしたらまた色々な取り組みが生まれることでしょう。風の挑戦はまだまだ続きます。


佐野準
「好奇心」
2008/08/22
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夏の日差しも強くなり、ますます暑さが増していく7月3週目の公演。
東京の東亜学園高校から始まった公演は、山梨県の双葉中学校、下吉田中学校、そして東京に戻っての大泉桜高校の公演でした。
ある学校で開演前に先生が生徒の皆に向けて諸注意などと共に、とても考えさせられる言葉を仰っていました。
「この舞台装置、ここに置かれている小道具、音や照明、演技もすべてに意味がある。君たちはそれをどう受け取るかだ。最初から壁を作ったら何も伝わらない。是非とも好奇心を持って観て欲しい。」
細かい部分は多少違うと思いますが、この様な言葉をかけていらっしゃいました。

現代では知りたいと思う事、興味がある事はインターネットなどを通じて情報としてはすぐに手に入ります。ですが、実際にそれに「触れる」事はなかなか出来ません。そんな中、客席の生徒の皆さんが何かを知りたいと思う気持ちをどう生かしながら、伸ばしながら芝居を「触れさせて」いくのか。
一回一回の公演を創りあげていく中で、決して忘れてはならない事です。
そんな事を考えさせられた一週間でした。
学校での公演は今週で最後。千秋楽は福島での一般公演です。


渡辺雄亮
客席に吹く風
2008/08/22
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今週は埼玉県の二校。7月11日本庄高校、12日城北埼玉中学・高校でした。

本庄高校の公演後、出演者全員と座談会。かなり熱のこもった会になっていたようで、長い時間及んで開かれていました。
座談会後に出席していたメンバーが舞台に来て記念写真をパチリ。普段、裏方をやっているとなかなか生徒さんと触れ合う機会は少ないのですが、このような時にお話できることは嬉しいものです。

埼玉城北中学校・高校は午前 高校、午後 中学校の2ステージでした。
高校生は静かですが、食い入るように集中した空気を作り、中学生は舞台に巻き込まれるように、舞台を巻き込むように劇場空間を作り上げていました。

演劇とは決して舞台だけでは、役者だけでは成り立たない。舞台と観客が会って初めて演劇が生まれる。
たとえ同じ学校の生徒でも、観る人間が違えば新しい演劇が生まれる。そのことを感じるに良い機会でした。
新しい演劇を作り上げる中で、変化していくこと、変化してはいけない芯の部分とをみつめて旅公演を続けていきたいと思います。


長谷川 敬久
たくさんの元気
2008/08/06
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6月14日に、岩手・宮城を襲った内陸地震。
その余震も収まらない、不安な被災地での公演が、6月下旬から続きました。取分け、震源地の宮城県、栗原市にある「鶯沢工業高校体育館」での7月4日の公演は、今回のツアーの中でも、特に印象深く、心に残るものとなりました。

校内のあちこちに残る生々しい爪痕が、地震の凄絶さを物語っていました。厳しい状況下での公演でしたが、舞台に寄せる大きな期待感が、水銀灯も点かなくなった体育館に充満していました。「今日のこの日を楽しみに待っていました。」という校長先生の言葉に、勇気付けられて、開演!-観て下さった皆さんの刻々の反応、そして共感の熱いまなざしと拍手に支えられて、2時間のドラマを客席と共に創り出すことができました。終演後、舞台の撤去の手伝いに駆けつけてくれた50人を超える生徒さん、先生方(全校の3分の1にあたる)一人一人の目が、輝いていました。皆、元気な笑顔で、「また来て下さい!」と声をかけて下さいました。

本当にありがとうございました。たくさんの元気をもらって、私たちの旅は、続きます。


酒井 宗親
旅の終わり、そして・・・
2008/08/06
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3ヶ月にわたる『肝っ玉おっ母とその子供たち』の旅公演は7月16日(水)宝塚西高校、そして18日(金)南京都高校の公演で千秋楽を迎えました。千秋楽の公演は学校の終業式の日でもあったのですが、最後に即興で「劇団の皆さんにもう一度拍手を!」と言った代表の生徒さんの高揚した気持ちが皆に伝わり、あたたかい拍手の中で旅を終えることができました。
『肝っ玉』を学校公演にという立案者でもある座長の柳瀬がツアーの打ち上げの席で話しました。「はじめは九州で2週間だけでも上演したいと思っていたけど、初旅で54ステージ、大きな反響を得られた。そして今回、関西など新たな地で、『肝っ玉』が若い人々に通じたのは大きな成果と思っている。これからも真に若い人を勇気づけられる公演をし続けたい。」と。
そして肝っ玉おっ母役の辻は、2年前に『肝っ玉』を初めてツアーに出した初日の公演のことを毎日思い出していた。「高校生がこの芝居を本当に見るだろうか、という凄い不安の中で、自分たちの芝居をやりぬこうとしたあの日のことを忘れずに舞台に立ちたかった。」大きな反響という結果ではなく、創ろうとした時の(そして今の)動機から毎回の公演に臨んだ3ヶ月のツアーだった。

そして、8月8日~10日のレパートリーシアターでの『肝っ玉おっ母とその子供たち』東京公演が待っている。一人一人が時代に対しての希求やメッセージを持って、公演に挑みたい。


稲葉礼恵