旅公演日記
旅公演日記2008秋
星の王子さま Le Petit Prince
作:サン=テグジュペリ●構成・演出:浅野佳成/北海道・東北地方
| <キャスト> | |
|---|---|
| 王子: | 白根有子 |
| 飛行士: | 緒方一則 |
| ヘビ: | 酒井宗親 |
| 花: | 仲村三千代/渋谷愛 |
| キツネ: | 工藤順子 |
| 星の住人: | 栗山友彦/鈴木亮平 |
| バオバブ: | 車宗洸/磯矢拓麻 |
肝っ玉おっ母とその子供たち
作:ベルトルト・ブレヒト●演出:浅野佳成/九州・関東地方
| <キャスト> | |
|---|---|
| 肝っ玉: | 辻由美子 |
| 料理人: | 柳瀬太一 |
| 従軍牧師: | 中村滋/田中悟 |
| イヴェット: | 渋谷愛/柴崎美納 |
| アイリフ: | 佐野準/ 鈴木亮平(劇団 芋屋) |
| スイスチーズ: | 栗山友彦/佐藤勇太 |
| カトリン: | 稲葉礼恵/白根有子 |
| 徴兵係・書記ほか: | 白石圭司 |
| 曹長・兵士ほか: | 高橋征也(劇団 芋屋) |
Touch~孤独から愛へ
作:ライル・ケスラー●演出:浅野佳成/関東・東北・甲信越・関西・中国地方ほか
| <キャスト> | |
|---|---|
| トリート: | 緒方一則 |
| フィリップ: | 佐藤勇太 |
| ハロルド: | 酒井宗親 |

今ツアーの、超が付くほどハードな前半を終え、旅はゆるやかなコースの後半へとはいってきました。
とは言え、今週は体育館での公演が続きます。体育館での公演の時は、ほとんどの場合、生徒たちがバラシやトラックへの荷積みを手伝ってくれます、だからいろいろと話ができる機会が多くあります。
11月10日、福岡県/北九州高校。「来年もこの芝居でまた来てください!もう1度見たいです!」という声に思わず心もなごみます。
11日の熊本県/鹿本農業高校では、カーテンコールの際、生徒から「僕の育てた花です」と、シクラメンをプレゼントされたグリ(辻由美子:肝っ玉おっ母役)は、思わずこみ上げた泪をおさえるのに必死でした。
12日はとなりの鹿本商工高校。お互いが熱さ与えあうような公演でした。
13日は、中日祝いもかねて南阿蘇の地獄温泉で一休みです。明けて土曜日15日は熊本県/大津翔陽高校。積極的な生徒会の生徒たちが、まるで劇団員のように手伝ってくれて公演をつくりあげました。そして16日の日曜日、宮崎海洋高校での公演。ここも大津翔陽高校と同じく、文化祭の中での公演でした。
高校生たちは、『肝っ玉』をよく観てくれます。笑いながら、驚きの悲鳴をあげながら、そして楽しみながら。
彼らは『肝っ玉』を見ることを通して、さまざまなものと出会っているのではないでしょうか。自分について、時代について、社会について、家族について、自由について。
さまざまなことを、『肝っ玉』を媒体にして客席と舞台とが対話しているような気がしてなりません。
その対話こそが、若い人たちに芝居をみせる、一緒につくることの悦びなのではないでしょうか。旅はようやく後半へ入ったばかりです。

先週の寒波から一転、穏やかな暖かさの土地へと旅班は行きます。
演劇というと劇場の中の舞台で演じられる物と思われがちですが学校公演となるとそうは行きません。
大概の劇場は、暗転が効き(真っ暗になる)、防音設備があり(外の音が聞こえない)日常空間から隔絶されていますが、学校公演では体育館に劇場空間を創り上げます。舞台のセットを組むことはもちろんですが、照明のバトンを仮設し、一切の自然光が入らない状態を作り、体育館を劇場に作り変えるのです。
もともと運動をするために造られている建物ですから様々な問題はあります。夏は暑く、冬は寒い。太陽光を取り入れるために壁面全てが窓だったり、天窓があったりetc・・・
では、何故体育館で公演をするのか?
それは、普段慣れ親しんでいる空間が別な物に変化する驚きを感じてもらいたいこともありますが、演劇をもっと身近な物として感じてもらいたい、自分たちの学校生活の中で「学校で」本物の演劇を見る事は代えがたい思い出になるのではないか。と考えます。
体育館での公演、劇場での公演、それぞれ良いところはあります。その一瞬一瞬を大切にし、Touch班は次の地へ。

9月30日から始まった『肝っ玉おっ母とその子どもたち』の九州ツアーも5週目を迎え、ついに後半戦に入りました。
今週は福岡→熊本→佐賀→熊本で5つの学校で公演を行いました。
舞台から見る彼らの顔は笑顔や涙、疑問や反感と様々な表情が舞台と共に移り変わっていき、カーテンコールの頃にはすでに出会った時とは違った顔をしている気がしました。
日々、出会っていく様々な土地の生徒たちに自分たちの挑戦している演劇をぶつけていく。それは新しい発見や出会い、驚きが彼らの中に何かを起こす場として、僕たちも一緒になって作り続けていくことだと思います。
一つ一つの公演で出会ってきた生徒の皆さんからもらう元気が、次の出会いに向かう一歩を踏み出すための背中を押してくれている。
町から町へ、かけがえのない一期一会の出会いを大切に、風の九州ツアーを走り続けていきたいと思います。

劇団に入ってから経験すること全てが初体験の連続なんです。そして、僕にとってTouchの初旅が始まりました。
学校公演の旅に初めて参加した時の熱い気持ちが様々な場面で蘇ります。この情熱を忘れることなく、如何にして合理的に動いて旅を盛り上げていけばいいか?ひとつひとつ、毎日溢れてくるまとまらない気持ちをどうしたら子どもたちに届けることができるのか。
日々、模索しています。
秋田自動車道から見える景色がとても美しかったです。断崖絶壁に紅葉した木々たち。この自然が造り出した美しさに対して、はたして僕らの造り上げる舞台装置は立ち向かうことができるのだろうか。
一期一会をかみしめながら丁寧にひとつひとつ手渡ししていける。演劇の可能性を信じています。

2008年秋「Touch~孤独から愛へ」の東・西日本の旅が始まった。
今回、兄のトリートが佐野から緒方になり、新しい兄弟の新しい「Touch」での出発だ。
今旅の第一週目は
東京・文京区の公演から始まり秋田→新潟→東京→山形と東日本をぐるりと回った。
一回一回の公演が新鮮で、毎回客席と共に新しく「Touch」という芝居が創られる感じがした。
客席もピーンと静かで、真剣に観ているという印象が強かった。
公演後の感想で、「カーテンコールで礼をして顔を上げた時の3人の笑顔が目に焼きついている。」
というのが、印象的だった。
彼、彼女たちの感性と眼差しと私たち風とが、ぶつかり、交じりあうことで、新たな発見や驚きが起こる。その瞬間を大切にしてほしいし、私たちも大事にしたい。
ひとつひとつの公演をしっかりとやり抜き、彼、彼女らと出会っていこうと思う。