旅公演日記

旅公演日記2002秋

星の王子さま Le Petit Prince

九州、沖縄、中国、中部、北陸地方

<キャスト>
王子: 東珠実
飛行士: 緒方一則
ヘビ: 酒井宗親
キツネ: 工藤順子
花: 柴崎美納/仲村三千代
星の住人たち: 加藤泰斗/栗山友彦

ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち~

関東地方

<キャスト>
ヘレン・ケラー: 白根有子
アニー・サリバン: 柴崎美納
アーサー・ケラー: 酒井宗親
ケート・ケラー: 斎藤清美
アナグノス: 柳瀬太一
ジェイムス・ケラー: 栗山友彦
ビニー: 清水菜穂子
パーシー: 稲葉礼恵
医者: 加藤泰斗

学校公演の大切さ
2002/12/14
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広島での一般公演を終え、22日旅班は一旦帰京。29日まで舞台はありませんでした。でもその間には群馬県・月夜野町で風アトリエの会の方々との「りんご狩り&バーベキュー大会」(11/23・24)、3ヶ月のアメリカ滞在研修を終えた劇団員西垣耕造の帰国報告会(11/27)、と忙しい日々を過ごした。(ホームページ《風の便り》のページをぜひ見てください)
自前りんご園の新鮮なりんごをはじめ、英気を充分に養ったメンバーは28日、翌日の公演準備のため静岡県の相良高校体育館へ。大きな体育館ではあるが、今回は照明機材を仮設するためのローリングタワーを、客席部分を含めてフロア部分に組み上げなければならない。生徒数も多く、公演当日は体育館の本来ステージとして使っている部分も客席となり椅子が並べられた。
旅の途中、1日芝居をしなかっただけで次の舞台は久しぶりのような気がしてしまうが、1週間ぶりの舞台は緊張感とともにうれしいという実感がある。そして公演当日、最前列に座る生徒さんは舞台すれすれまで迫っているし、客席全体すごいパワーを放っている。体育館公演のおもしろさを担当の先生にお話する時生徒の皆さんの側からお話するのはもちろんだが、公演中は舞台に立っている私たちも、客席の近さ、生徒さんたちのダイレクトな反応を楽しんでいるのだ。昨夜の星空から寒い日になるのではと心配したが、終演後の生徒の皆さんからは「そんなの感じなかった」の声。生徒の皆さんに声をかけてもらい、舞台の片づけを手伝ってもらいながら、公演終演後も皆さんとの共有の場はつづく。
また1週間がたち、12月5日は岐阜県・中津川工業高校の公演。
この公演前に私は、私の初舞台から20年来応援していただいているS先生から一通の手紙を受け取った。私塾を経営するS先生は塾生の好奇心と自主性を優先し、一時期は年に何度かの観劇、オーケストラ鑑賞、遠足や勉強学習などを実行していた。いわゆる学習塾とは一線を画し、“子どもを育てることでいい”ということを実践されていた。しかし20年のうちに塾生も激減し、最近ではとうとう家庭の経済状況もあって「いい芝居を見ることがむずかしくなった。ここ数年は風に出かけることもむずかしいと思います。」という手紙だった。
一部の学校では最近、授業時間の確保、そして芝居を見たければ各自が見ればいいという考えから、芸術鑑賞や演劇鑑賞の時間が削られることがある。だからといって個人が観劇する機会は必ずしも増えているわけではないと私は思う。そんなことを考えているうちの公演当日だった。
開演前のベルの音が大きくて、袖中にいた役者は一瞬身を硬くしたが、どっと湧いた客席に大いに救われた。客席のリラックスした空気と、舞台に集中している感じが伝わってきて、昨日までの個人的な思い入れを吹き飛ばしてくれた。この日は座談会も無く、生徒さんと直接お話することはできなかったが、私にとって、あらためて学校公演を続けていきたいと感じられた1日でした。

★相良高校体育館で、ローリングタワーを組み上げて作った舞台部分。


清水菜穂子
若い観客の視線から
2002/12/10
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11月も中盤にはいって、めっきり日が短くなり、朝晩の寒さも厳しく感じられるようになりました。
今週は、11月18日、兵庫県西宮市の上甲子園中学校の公演から始まり、19日、愛知県の知立東高校、20日、大阪薫英女学院中学校、21日広島での一般の公演を行ないました。
上甲子園中学校、大阪薫英女学院中学校のふたつの中学校の公演ではどちらの学校も、開演すると生徒さんたちがとても集中して舞台で行なわれていることを感じているのが、伝わってきました。そしてときには、かすかながら笑い声や、驚きの声がきこえてきました。生徒さんの舞台への反応を受けながら、私達も客席と舞台とが共に創る芝居の大切さを感じた公演でした。
上甲子園中学校の舞台終演後には、舞台裏を支えるスタッフと、希望者の生徒さんとの、バックステージワークショップを行いました。舞台監督の山根さんのリードにより、約10名の生徒さんが舞台上に上がり、芝居中ヘレンが遊んだり、ビニーが洗濯をしていた、井戸のポンプから水を出すことを体験するワークショップを行いました。ワークショップに参加された生徒さんがたは少し緊張されていたようでしたが、どちらの組も、しっかり水をだしていました。
大阪薫英中学校の舞台終演後には、演劇鑑賞会担当の先生が楽屋を訪れ、興奮さめやまぬ状態で公演の感想をいただき、出演者みんなに声をかけていただいたことや、数名の生徒さんが、芝居の感想や、劇団員への励ましの言葉が書いてある手紙をヘレンに直接渡したいと、わざわざ訪ねて来てくれた事が、私達の喜びと元気になりました。
知立東高校の公演も、とても印象的なものになりました。
開演を迎え、終演、カーテンコールの最後の拍手まで、生徒さんの熱気、舞台上の登場人物に対する暖かい空気が、3階の体育館全体を包んでいました。それは、ヘレンやアニーの身体を使った動きや、舞台上で行なわれる、関係の変化や中断がおこったときに、生徒さんの拍手や笑い声、時には役の人物に叫ぶように語り掛ける生徒さんの姿で、私達に伝わってきました。
カーテンコールでは、花束と、生徒会長さんのお礼の言葉をいただきました。ユニークな生徒会長さんで、ヘレンの身振りをしながらやってきました。そして、挨拶の後、ヘレン役の白根に「ヘレンのこの身振りには、どんな意味があるのですか。」といって自分の身体をつかって、伝えようとしていました。それは、ヘレンが、身体全体を使って腕をおおきく天に向かって広げる身振りや、お母さんを呼ぶときの、自分の頬をたたく身振りでした。
舞台上で白根が演じるヘレンの身振りに対して、生徒会長さんのように興味を持たれた生徒さんは、少なくなかったのではないでしょうか。そのような身振りは、観客の生徒さんが、感じたままに受け取ってもらうことが、大切なことではないかと、私は思います。
ヘレン・ケラーの芝居を、若い観客がどのように観ているのか、何を感じているのかということを、旅のメンバーがあらためて考えた公演でした。
広島での一般公演は、実行委員会の努力により、たくさんの観客のなかで幕を開けました。なかには、親子づれの方もいらして、小学生ぐらいのお子さんもたくさん観劇された広島公演でしたが、私達も広島の方々の真剣な眼差しや、パワーに刺激を受けて、とても印象深い舞台になりました。実行委員会の皆さん、おつかれさまでした!
広島での一般公演については、ホームページの《風の便り》のページでも紹介しています。そちらもご覧ください。また、大阪薫英女学院の生徒さんや広島実行委員の皆さんからさっそく公演後《風の掲示板》に書き込みをいただきました。皆さんありがとうございました!!
★写真は知立東高校。日が暮れるまで舞台撤去を手伝ってくれた生徒さんたち。


栗山友彦
ともに過ごす時間のなかで
2002/12/06
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11月13日から15日は連日長時間の移動をしながらの公演でした。
13日は富山県・小杉高校。風は以前、文化庁ふれあい事業『星の王子さま』参加型公演で小杉町を訪れたことがあり、なつかしい気持ちで伺いました。
朝から天候があまりかんばしくなく、早めに打ち合わせの為に会場に来てくださったご担当の先生と生徒さんたちの移動を心配しましたが、無事開演。外の天候などよそに、元気で暖かい客席からのまなざしを感じた公演でした。座談会は演劇部と有志の皆さんが参加。公演の場をともに過ごしたことが感じられるリラックスしたムードの中で、今一緒にいる仲間と何がつくり出せるのかと迷いながらも、お互いを見つめながら活動をしている演劇部の皆さんの姿が印象的でした。昼間ちらついていた雪が夕方には本格的に降りはじめ、トラックはチェーンを装着しての移動。道路状況を心配しつつも、今年初めての本格的な雪におおはしゃぎのメンバーもいました。
14日は三重県・伊勢工業高校での公演。こちらも終演後に座談会があり、出席した白根と柴崎に俳優として、またひとりの人間としての関心を持った質問がむけられ、公演の場が、そこにいた一人一人の人間どおしの〈出会いの場〉であった事をうれしく思いました。(翌日すぐに座談会に出席されていた先生からHP に書き込みもいただきました。ありがとうございました)
15日津山工業高校は、会場となった津山文化センターが満席の公演でした。客席数1054席、天井まで届きそうな3F席まであるホールが彼らの熱気でいっぱいだったのが印象的です。終演後ご担当の先生から、スポーツが盛んな学校で(特に花園へは常連とのこと)普段から元気いっぱいの生徒たちなのだと聞き「なるほど」という感じ。身体ごとぶつかり合うような(?)舞台と客席の交流がおもしろい公演でした。

★写真は、13日小杉高校公演終了後の座談会で、出席した生徒さんたちと。


斎藤清美
11月も末。
2002/12/04
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☆長崎県の五島列島に位置する福江市。11月26日は福江文化会館での三校合同公演。五島商業高校、五島南高校、富江高校と、それぞれの学校の生徒さん達から非常に期待のこもった真剣な眼差しを感じた公演でした。終演後の座談会は時間があまり取れなかったのですが早速掲示板に書込みがあり、心に残る何かがあっての反応だろうと嬉しく思い、舞台に立つ気持ちも新たにしました。
☆11月28日は鹿児島県川辺市にある川辺高校の公演。ここの生徒さん達は非常にノリがよく、舞台そのものも即興的な面白みがあったと思います。役者達一人一人がそれぞれ客席と(面白さ)を共有しつつ公演を終えました。
☆次の日は熊本県本渡市の天草工業高校の公演。工業高校ということもあり、久々に男子生徒の圧倒的に多い客席。どのような視線で観、何を『星の王子さま』の世界に感じるのかと思いつつ体当たりで本番に臨みました。舞台そのものは真剣な眼差しと向き合う中、その場にある空気のようなものをとらえ、演じるといった感じ。あの真剣な眼差しを見るにつけ、舞台上で創り出された何かを共に感じられたのではないかと思います。


加藤泰斗
いんた-みっしょん(閑話休題)
2002/12/04
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☆11月23日は水俣にある『ガイアみなまた』に遊びに行きました。この日誌を見ている人は『ガイアみなまた』についてほとんど知らないと思いますので、以下に若干の紹介として『ガイアみなまた』の高倉史朗さんの原稿を原文のまま掲載します。
 水俣はたくさんの人を惹きつけてきた。水俣病事件が取り持つ縁とでもいうのだろうか。一人一人の被害者の多種多様な魅力に誘われて水俣に居ついた「よそもん」は十や二十ではきかない。
 『ガイアみなまた』を創立したのは1990年。それまで水俣病センター相思社で活動していた9人が新天地を求めた。相思社でやってきたように水俣病患者の社会運動をお手伝いしながら、さらに自分たちの生活の場を求めたかった。『ガイア』とはギリシャ神話に出てくる台地の女神の名。(最近では英国の学者が地球の生態系をあらわすのにこの言葉を使った)
 水俣病を引き起こした『チッソ』を糾弾しながら、ふりかえれば海を汚し、大気を汚染する自分たちがいた。耕していた畑も他人のものである限り、何年かすれば返却を求められる。自分たちの根拠地を持ち、他人を責めて成り立つのではない思想が欲しかった。それぞれの考え方は異なるが、相思社で学んできた(共に暮らす)という生活方法も続けたかった。
 ぼくらの出発を応援してくれたのは、それまでぼくらが支援していたはずの水俣病患者だった。畑を提供してくれる人があらわれ、建物の建設資金にとカンパしてくれる人があらわれた。みかんの木の育て方も教えてもらった。「光と風を枝の間に入れてあげなさい。」不安でいっぱいのぼくらにこんあにふさわしく心を励ます言葉が他にあっただろうか。
 あれから12年。当初の思いに比べれば成しえたことはわずかだけれど、それでも畑を耕し、みかんを育て、近隣の生産者と共同で販売組織を作り、マーマレードを加工してどにか生きている。水俣病を学びにくる人たちも足がかりに使ってくれるし、演劇集団として独自の生活を続ける『風』のみんなも時に立ち寄ってくれて杯を交わす。そんな場は作れた。
 「人生50年」ならもう終わりだが、これからどう年をとるのか、これかわどう人を迎えるのか、親元を次々と巣立っていく子どもたちを見送りながら、かつて笑いながら合言葉とした「おれらのもうけは生きもうけ」ともう一度つぶやいている。
☆旅メンバーは全員そこにお邪魔して、昼間に釣ってきた魚や買い込んできた肉などでバーベキューを満喫しました。劇団員は久々ということもあって募る話に花も咲き、楽しいひとときを過ごしました。『ガイア水俣』の皆さん、ありがとうございました!! またお邪魔します。
(写真提供は趙東風さん。ありがとうございました)


加藤泰斗